ところで、メーカーとは一体何だろうか−−。かつて「メーカー」といえば自社でモノを作る企業を意味していた。それに企画・販売の機能が加わり、「作る(make)」内容が変化していき、語本来の意味のモノづくりからトータルでの製品化に重点が移り、いまではプロデュースやコンセプトづくりへと移ってきている。
一からモノを作るより、すでにあるモノを他所から探してきてアッセンブリというか、あるコンセプトのもとに構成した方がはるかに低コストかつ短期間に製品化することができるからだ。特にデジタル製品は。
実際にそうした方法で作って見せたのが冒頭に紹介したUPQであり、FREETELである。UPQに至っては企画から販売までわずか2か月という超スピード。企画ですらまともにやったのかと思えるスピードだ。繰り返すが、いまはそうしたことができる時代になっているということだ。そして誰もがメーカーを名乗れる時代に。
これも繰り返しになるが、FREETELの方は少し違う。海外OEM製品の調達でも、「日本品質」にこだわり、その線に沿ったものを委託生産し、さらに海外での販売を意識し、企画段階から「和」のコンセプトで作りあげたようだ。
海外で活動した人達がこぞって口にする言葉がある。「お前のアイデンティティーは何だ、と指摘され、それから自分のアイデンティティーとしての日本、日本人ということを強く考えさせられた、意識させられた」というようなことを。
これはモノにも共通することだろう。世界のどこでも作られている同じようなものを作っても売れないだろう。どこが違うのか、と言われた時、せめて価格でも違えば別だが、それも似たようなものなら消費者は店頭に数多く並んでいるものの方を買うだろう。
日本製品のアイデンティティー(あるとして)は何だ、と聞かれた時、いままでは「Made in Japan」というブランドがあった。だが、世界各地で生産された部品を組み合わせて製品を作っているいま、「Made in Japan」は謳えない。
だが、自分達は日本製品のアイデンティティーは守っているということをFREETELは「Made by Japan」という言葉で謳ったのだろう。日本品質というだけでなく、「和」のテイストも打ち出すことによって。
これは非常にうまい方法だ。アイデンティティーは自己満足ではダメで、相手に見えるような形にすることが大事だ。
海外で高く評価されている日本製品は手作り(アナログ製品)であり、日本の伝統的文化を意識させられるものが多いのはそういうことでもある。
ともあれ、FREETELは日本のモノづくりメーカーに一つの方向性を示したのは間違いない。
メーカーは今後、意図するとせざると関係なく変わっていくだろう。ひたすら拡大路線を追求し、世界に市場を求め、同じようなモノを大量に作り続ける企業と、手作りの「Made in Japan」製品を作り続ける少数、そして「Made by Japan」として「日本ブランド」を守ろうとする企業の3つに。
くどいようだが最後にもう一度。会社設立からたった2か月で製品販売まで行える時代になっている。品質だけでも、技術力だけでも、企画力だけでも、スピードだけでも生き残れない時代になっている。そういう企業は世界にわんさといるからだ。
時代の変化に合わせた変化がメーカーにも求められている。自らのアイデンティティーをどこに求め、どう表現していくのかがいま問われているのではないだろうか。
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